不動産管理の現場では、日々さまざまな業務が発生します。
清掃、点検、立会い、原状回復対応、残置物の整理、入居者からの突発的な依頼。
こうした業務について
「どこまで自社でやるべきか」
「どこから外に出すべきか」
この判断に明確な基準を持っている管理会社は、実は多くありません。
結果として、
慣習で続けてきた対応をそのまま引きずっていたり、
本来は整理すべき業務まで抱え込んでしまったりするケースが目立ちます。
まず整理したいのは、
外に出すかどうかの判断は「手間」や「忙しさ」だけで決めるものではない、という点です。
本来の判断軸は、次の3つです。
1つ目は、責任の所在が曖昧になる業務かどうか。
2つ目は、現場判断と制度・契約の間にズレが生じやすいかどうか。
3つ目は、継続的に同じ判断を求められる業務かどうか。
責任の所在が曖昧になる業務
例えば、原状回復工事に伴う廃棄物の処理や、残置物の扱いです。
現場では「いつものやり方」で処理されがちですが、
実際には、
誰が排出事業者になるのか
どこまで管理会社が関与してよいのか
契約上の位置づけはどうなっているのか
といった点が曖昧なまま進んでいることも少なくありません。
このような業務は、
現場で完結させようとすればするほど、
後から説明がつかなくなるリスクを抱えます。
「自社でやれるか」ではなく、
「自社が責任を負うべき業務か」という視点が必要です。
現場判断と制度・契約のズレが生じやすい業務
清掃や点検そのものは、現場で完結しやすい業務です。
一方で、次のようなケースでは注意が必要になります。
・本来は管理範囲外の対応を、善意で引き受けてしまっている
・入居者対応のつもりが、契約変更に近い判断になっている
・管理委託契約に書かれていない業務が常態化している
現場では「今やらないと困る」という判断が優先されがちです。
しかし、その積み重ねが
管理会社の責任範囲を知らないうちに広げてしまうことがあります。
こうしたズレが起きやすい業務は、
一度整理した上で、外部の仕組みを使う方が結果的に安全です。
継続的に同じ判断を求められる業務
単発なら問題にならなくても、
同じ判断を何度も求められる業務は、注意が必要です。
・毎回、誰が対応するか迷う
・担当者によって判断が変わる
・「前はやったのに、今回はなぜやらないのか」と言われる
この状態は、現場の負担だけでなく、
組織としての説明力も弱くします。
こうした業務は、
個人の判断ではなく「仕組み」として外に出す方が合理的です。
すべてを外注する必要はありません
ここで誤解されがちなのは、
「外に出すべき=全部委託する」という発想です。
実際には、
現場品質が求められる業務は自社で
判断や整理が難しい部分だけを外に出す
という形が、最も無理のないケースが多く見られます。
不動産管理は、
すべてを抱え込むか、すべてを手放すか、
その二択ではありません。
現場と判断を分けて考えるという選択
私自身、清掃や原状回復の現場を経験してきました。
そのうえで強く感じるのは、
現場対応そのものよりも、
「これは誰が、どこまで判断する業務なのか」を整理できていないことが、
トラブルの原因になるという点です。
現場は現場として丁寧に行う。
一方で、判断が絡む部分は、
無理に現場で完結させない。
そのための考え方や具体的な対応の形については、
別サイトの不動産管理オンデマンドのページで、
より実務に即した形でまとめています。
日々の管理業務の中で、
「これは外に出すべきかもしれない」と感じる場面があれば、
一度、現場と判断を切り分けて考えてみてください。
![]()

