原状回復の現場では、作業そのものよりも「判断」で時間を取られることが少なくありません。

クロスは張り替えるべきか、清掃で済むのか。
設備の不具合は経年劣化なのか、入居者負担なのか。
オーナーに確認すべきか、現場判断で進めてよいのか。

多くの管理会社が、日常的にこうした判断に直面しています。

今回は、特に判断に迷いやすいポイントを、現場目線で整理してみます。


まず多いのが、原状回復の範囲そのものが曖昧なケースです。

契約書には「原状回復」と書かれていても、
どこまでが原状で、どこからが修繕なのかは、現場ごとに微妙に異なります。

・見た目は汚れているが、機能的には問題ない
・一部だけ傷んでいるが、全体交換でないと仕上がらない
・前回の退去時の施工レベルが分からない

こうした条件が重なると、
「やりすぎ」なのか「不足」なのかの線引きが難しくなります。


次に多いのが、責任の所在が複数にまたがるケースです。

例えば、

・入居者負担かどうか微妙
・オーナーの意向がはっきりしない
・管理会社としてどこまで判断してよいか不安

この状態で工事を進めると、
後から「聞いていない」「想定と違う」という話になりがちです。

現場としては急ぎたい。
でも、判断を急ぐほどリスクが高まる。

このジレンマが、原状回復を難しくしている原因の一つです。


三つ目は、清掃・軽作業・工事の境界が曖昧な場面です。

清掃で対応できるのか。
簡易補修なのか。
工事として発注すべきなのか。

この判断を誤ると、

・コストが膨らむ
・仕上がりに不満が出る
・業者との認識ズレが起きる

といった問題につながります。

現場経験があるほど、
「どこまでなら現場で吸収できるか」を考えてしまう分、
判断が遅れたり、迷ったりすることもあります。


こうして見ていくと、
原状回復で迷いやすいポイントの多くは、

作業の問題ではなく、
判断の整理ができていないことから生じています。

・誰が決めるのか
・どこまで決めてよいのか
・どこから外に出すべきか

この線が曖昧なまま進むと、
管理会社の負担だけが積み重なっていきます。


原状回復は「全部自社で抱える」か
「全部外注する」か、という二択ではありません。

判断が重たくなる部分だけを切り出し、
そこだけ外に出す、という考え方もあります。

実務の中で
「これは外に出すべきかもしれない」と感じたとき、
その感覚自体が、すでに一つのサインです。


判断に迷う場面を、どう整理し、どう分けるか。
その考え方については、こちらの記事で整理しています。

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