不動産業を営む上で欠かせない役割が「専任の宅地建物取引士(専任取引士)」です。
しかし、社員の退職や配置転換などで専任取引士を変更しなければならない場面は少なくありません。

この記事では、専任の宅地建物取引士を変更する際に必要な手続きやポイントをわかりやすく解説します。


1. 専任の宅地建物取引士とは?

宅建業者には、事務所ごとに一定人数の専任取引士を置く義務があります。

*専任の宅地建物取引士は、宅建業の従事者5名に対して1名以上が必要になります。

*宅地建物取引士が不足してしまった場合は、2週間以内に補充する必要があります。


「専任」とは、その事務所に常勤し、宅建業務に従事できる状態であることを言います。

  • 常勤 → 原則フルタイム勤務
  • 専従 → 他業務に忙殺されず宅建業務に従事できること
  • 外部委託や非常勤では不可

2. 変更が必要となる主なケース

専任取引士の変更が必要となるのは、以下のようなケースです。

  • 専任取引士が退職した
  • 他部署へ異動し、専任の要件を満たさなくなった
  • 新たに資格を持つ社員を専任にしたい
  • 事務所の構成が変わり、専任数の調整が必要になった

3. 専任取引士を変更する手続きの流れ

① 専任取引士の変更届を免許権者に提出する

変更が生じた日から 30日以内 に、免許権者(知事または国交省)へ届出をします。

提出する主な書類は以下です:

  • 変更届出書
  • 略歴書
  • 専任の宅地建物取引士設置証明書
  • 専任の宅地建物取引士の顔写真貼付用紙

※自治体により書式や添付資料が微妙に異なります。

※保証協会への届け出も必要になります、各協会にご確認ください。

② 従業者名簿の変更・更新

社内で管理している従業者名簿も必ず変更します。

この事務所の従業者となった年月日

入社日を記載します。免許申請の時点で入社していた場合は、免許年月日を記載します。

③保証協会へも変更届を提出

主務官庁の受理した変更届の写しを添えて速やかに各不動産協会や保証協会へ変更届を提出します。

宅地建物取引士本人も別途登録変更をする必要があります。 ➪東京都の場合

専任の取引士の就任の場合事前に取引士本人の資格登録簿の内容の変更登録申請が必要です。


4. 専任取引士が不在になった場合の注意点

専任取引士がいなくなると、宅建業法違反となるおそれがあります。

  • 長期間不在は行政処分の対象(指示・業務停止命令など)
  • 早期に代わりの専任者を確保することが重要
  • 見つからない場合でも、まずは行政庁へ状況を相談するとトラブル回避に

5. 新しい専任取引士を選任するときのポイント

  • 常勤性(勤務実態)が明確か
  • 宅建士証の有効期限を確認
  • 兼務が許されるか(他会社との兼務不可)
  • 事務所の従業員数に応じて専任人数が満たされているか

6. まとめ

専任の宅地建物取引士を変更する際は、30日以内の届出と書類整備が大切です。
特に退職などで専任者が突然いなくなった場合、迅速に対応しないと行政処分につながる可能性があります。

スムーズに手続きを進めるため、事前に必要な書類やフローを把握し、社内でも従業者名簿や勤務実態を整理しておくと安心です。

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